
龍谷大学文学部は、龍谷大学の歴史とともにあります。本学は1639(寛永16)年に西本願寺に設けられた「学寮」に始まりますが、文学部もまたそこから始まりました。
現在の文学部は、「真宗・仏教学」「哲学・教育学」「歴史学」「文学・言語学」の4つの分野からなり、6学科6専攻に分かれています。そこに共通するのは、すべての基盤となる「言葉」を深く学修し、専門的な学問を学ぶということです。
このように文学部では、言葉を大事にしながら人文学を学びます。さて、人文学を学ぶ目的は何でしょうか?その一つは人間としての教養を身につけることでしょう。専門的な知識を獲得することは大切ですが、それとともに人間としてどうあるべきかを考えることが必要ではないでしょうか。みなさんには文学部の学びを通して、世界とは何か?社会とは何か?言葉とは何か?自分とは何か?善き人生とは何か?ということをじっくり考えていただきたいと思います。
また大学生活を送るにあたり、ぜひ「知的好奇心」と「批判的精神」をもっていただきたいと思います。「好奇心」がなければ何も始まりません。特に若いうちは「何でも見てやろう」という気持ちをもって、世の中の様々なことに関心を持ってください。そこからやりたいこと、研究テーマなどが見つかることでしょう。
一方で社会の問題に気づいたり疑問に思ったりすることもあると思います。そこで「批判的精神」の登場です。ここでいう「批判」とは、相手の弱点をあげつらうという意味ではなく、物事を多様な角度から検証し、より客観的な評価や判定を下すという意味です。世の中には様々な情報が溢れており、すべてを鵜呑みにするわけにはいきません。何が真実か、何がより妥当なのかを常に考える必要があります。
また一つの出来事でも立場が違えば見え方は変わってきます。一つ例を挙げれば、1492年のコロンブスによる「新大陸」への到達は、ヨーロッパ側から見れば歴史的偉業でしたが、先住民側から見れば大禍の始まりでした。このように複眼的な視点から物事を捉えることも大切です。
どんな大学生活を送るかは自分の行動にかかっています。受け身ではなく、自分から積極的に動くことで、可能性はどんどん広がっていきます。その中で悩んだり壁にぶつかったりすることもあると思いますが、それが人生です。小説でも映画でもない、自分自身の人生を生きてください。私たち教職員は、そんな皆さんの大学生活を精一杯応援していきます。
文学部長 安藤 真次郎