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Faculty of Letters

文学部

安藤 徹

安藤 徹
教員氏名
安藤 徹 教授
専門分野
日本古典文学(とくに『源氏物語』を中心とした平安朝文学)

研究内容を教えてください。

『源氏物語』を主な対象にして、私に命名した「物語社会学」を構築することを目指しています。「物語社会学」の主要な関心は、『源氏物語』の現実感がどのようにして達成されているのかを明らかにすることです。そのために、物語の内と外にある二つの「物語社会」を節合し、さまざまな言説を相対化しつつ、『源氏物語』の“求心力”と“遠心力”を測定しようと試みています。物語テクストそのものの分析だけでなく、『源氏物語』の享受と研究の歴史の捉え直しも重要な課題です。

専門分野のおもしろさは何ですか。

『源氏物語』の研究の歴史は長く、多彩です。その前提にあるのは、テクスト自体の潜勢力や潜在能力、脆弱性、回復力などではないかと考えています。こうしたテクストの特性を「学びほぐし」と「想像=創造力」を駆使して解明することは、現実世界を読み解くことにも繋がる、刺激的な知的営為だと思います。「おまえには何ができるのか」と、つねに『源氏物語』に問われている感じもして、恐ろしくもあり、苦しくもある分野ではあります。しかし、だからこそチャレンジしがいもあります。

なぜその分野を専門として選ばれましたか。

『枕草子』に「近うて遠きもの」という章段と「遠くて近きもの」という章段があります。私たちにとって古典文学とは、まさに近いようで遠く、遠いようで近い存在です。この絶妙の距離感によって、日本文化を振り返り、現代社会を照らし出し、今を生きる私たちを問い直すことができるのではないかと思います。「古典のなかの古典」とも言われる『源氏物語』は、そうしたアクチュアル性がとくに高く、研究する意義の深いテクストだと考えました。

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