- 教員氏名
- 青原 令知 教授
- 専門分野
- アビダルマ仏教・部派仏教・倶舍学
説一切有部を中心とした北伝のアビダルマ仏教教学史。 仏滅後に経典が結集され、その教説内容が体系化されてやがて「論」という聖典ジャンルが成立し教説が複雑化していくまでの過程、最終的には『倶舎論』という大著に帰結していく有部思想の発達段階を考察している。現在は業論を中心に解明を試みている。
アビダルマ仏教とは何かといえば、釈尊なき後の仏教徒たちが教えを整理整頓した時代の仏教だ。複雑煩瑣、無味乾燥、奇々怪々…散々な言われ方をする分野でもある。だけど、当時の人たちが何を思い、何を見て、何を感じながら仏教を伝えてきたのか、アビダルマにはそんな人々の熱い想いがある意味凝縮されている。その情熱に共感しなければ、残された言葉はチンプンカンプンで何が書いてあるのか絶対に解らない。それをひも解くパズルのような醍醐味がアビダルマ研究にはある。アビダルマの密林に迷い込んで40年、いまだにそこから抜け出せずにいる。
大学二年生の時、仏教学講読の授業で『倶舎論』に触れて関心を持ったのがそもそもの始まりだが、その授業の担当の若い先生が同郷でまた下宿も近かったため、気さくに声をかけて下さったのが運のつき。稲荷山の頂上まで一緒に散歩したり、下宿で鍋パーティしたり親しくさせて頂いた。先生と談笑する仏教の内容は常にアビダルマの話で、自ずと興味もその方面で広がっていったのである。先生は指導教授ではなかったが、自分の中では一番の恩師であり、今でも頭が上がらない。