日常生活では表面的にしか考えられていない問いについて、ものごとの本質や原理にまで遡って考え抜くところではないでしょうか。私たちが哲学者・思想家らの重厚な思索や議論と向き合うには、忍耐力や論理的な思考力などが必要となり、労苦も伴います。それでも自分なりの考えを見い出そうと試行錯誤することは、単に知的な欲求を満たすというよりも、生きる上での基盤を築き、他者や世界との関係を捉えなおすことにつながると思います。

大学で初めて哲学の講義を受けたとき、人間の知的な営みよって生まれた思索の深さに、感動したからです。入学前は、「なぜ学ぶのか」という問いに答えが見い出せず、学問と真剣に向き合うことの喜びを知らずにいました。哲学を専攻して、思想家たちが遺した知と対峙するなかで、ときに悩みながらも、考えることの喜びから離れられなかったのだと思います。大学時代は、様々な分野を専門とされる先生方や友人と出会い、自分次第で好きな学問を究められる時期です。有意義な大学生活を送ってください。