- 教員氏名
- 松田 克進 教授
- 専門分野
- 西洋近代哲学・倫理学
主に17世紀西洋の合理論哲学を研究してきました。中心テーマはデカルトおよびスピノザ(とくに後者)の哲学思想です。さらに、現代における決定論と自由意志をめぐる哲学的論争についても考察しました。また、最近は「情動の哲学」と呼ばれる分野も研究しています。情動とは知覚に近いものなのか、それとも認知(判断)に深くかかわっているのか、という問題をめぐって、デカルトやスピノザの理論を参照しつつ現代の諸説を考察・評価しています。
17世紀は哲学の歴史において特別の意味をもっています。それは科学革命の時代なのです。デカルトは哲学者であると同時に科学者でもありました。科学が成立するときに哲学的な大問題となったのは精神(心)が科学の対象となるのか否かです。デカルトは精神は科学の対象とはならないと断じました。この問題をめぐる論争は今も継続しています。科学と哲学との緊張関係が17世紀哲学の魅力です。
第一に、さまざまな師との出会い。第二に、さまざまな友との出会い。第三に、さまざまな書物との出会い。そして、第四に、静謐な小さな図書室の存在。「哲学科閲覧室」--略して「哲閲」--と呼ばれていました。たしか十数人入れば満室。窓口での貸し出し手続きはもちろんヒソヒソ声です。ヒソヒソ声が途切れればページを繰る音だけが聞こえました。その「哲閲」もいまはもうありません。古き良き時代です。