- 教員氏名
- 壬生 泰紀 講師
- 専門分野
- インド仏教
私の研究は古代インドの経典や仏像を読み解くことです。経典や仏像は当時の人々のことを知る重要な手がかりになります。複数の経典を対照させたり、様々な仏像の図像表現を比較したりすることで、それらが何を伝え、何を示そうとしていたのかを探っています。それによって当時の信仰の実態を明らかにすることを目指しています。また現代インドの仏教についても研究しています。インド仏教復興の立役者であるB.R.アンベードカル(1891~1956)の著作を読んだり、いまの仏教徒たちが何を考え、何を目指しているのかを調査するために現地に行ったりしています。
経典や仏像の研究のおもしろさは、何と言っても、それらを読み解いていくなかで、当時の人々の思考や生活に触れることができる点にあります。なので、経典や仏像からのメッセージをしっかりと受け止められた瞬間が一番の喜びです。また現代インドの仏教の研究については別のおもしろさがあります。いまのインドの仏教徒の多くが仏教の教えに希望を見出し、生きる糧にしています。そうした人たちと交流して、仏教の持つ新たな可能性を肌で感じられるのが醍醐味です。
大学院で初めてサンスクリット語(古代インドの言語)を学び、この言語の厳密な文法規則に驚き、かつ魅了されました。そして、サンスクリット語の経典を読み始め、それと関連の深い仏像も研究するようになりました。その一方で、古代だけではなく、現代インドの仏教についても興味を持つようになりました。振り返ってみると「何かおもしろそう」という直感に任せて研究を続けてきたように思います。