- 教員氏名
- 村岡 倫 教授
- 専門分野
- モンゴル帝国史
モンゴル帝国は、いかにしてあのようなユーラシアを跨ぐ広大な地域と多元的な世界の統治を可能にしていたのか、それが私の研究課題です。モンゴルの歴史は様々な言語で記されていますので、複数の言語史料を読み込む「多言語主義」、文献だけに頼らず、モンゴルや中国での現地調査を重視する「現地主義」、そして現地に残る碑文などの一次史料を実見・解読する「原碑主義」、この「三ゲン主義」をモットーに研究をしています。
モンゴルは野蛮で暴虐な征服者というイメージが先行し、その強大な軍事力を背景に、各地で抵抗する人々を力で押さえつけて拡大したとこれまで思われてきました。しかし、研究を進めると決してそうではないことがわかります。彼らは様々な民族の生活や文化・信仰を尊重し、多くの人々の支持を得ていました。今を生きる我々にも、モンゴル帝国の統治理念から学ぶべき点はたくさんあります。それらを明らかにしていくことがモンゴル帝国史研究のおもしろさの一つです。
高校時代の世界史の授業で知ったモンゴル帝国ですが、中国に元朝を建てたフビライ・ハンとイランにイル・ハン国を建てたフラグが、父母を同じくする兄弟であることに何とも言えない雄大さを感じました。また、彼らの兄で、二人に中国やイランの遠征を命じたモンケ・ハン自身も若いときにはロシア遠征に参加し、最後に没したのも中国親征途上の四川の陣中でした。このような雄大なスケールで展開するモンゴル帝国史に惹かれ、研究したいと思いました。