- 教員氏名
- 岡本 健資 教授
- 専門分野
- 仏教文化学・インド仏教説話
インドの仏教説話を中心に研究しています。説話とは、何かを「説く」ための「話」ですから、読者に向けての問いかけを含んでいます。どのような生き方を、どのようなふるまいを、「良い」とし、あるいは「良くない」と考えるのか、その選択と判断を問いかけるわけです。説話ごとに問いかけ方は異なり、問われる中身も多様です。それらを解明してゆくことが主な研究内容です。
「謎解き」感です。説話では多様な人(や動物)が登場し、トラブルにもよく巻き込まれます。登場者たちのどの行動が、どのような思想、どのような価値観を伝えるためのものだったのかについて考えている時は、推理小説を読むとき以上のおもしろさがあります。また、説話は、南アジアや東南アジアでは浮彫や壁画として、東アジアでは巻物などの美術資料としても保存されています。文献と美術両資料の比較研究ができるのも、おもしろさのひとつです。
大学2回生の時、基礎演習の指導教授と一緒に、インドのアショーカ王を主人公とする説話を扱う研究書を読む機会に恵まれました。その書籍は、説話を「あやふやな歴史」として捉えるのではなく、説話は説話それ自体として捉えることが大切だと主張し、説話の筋書や言葉に隠された価値観や思想を解明してゆくものでした。それは当時の私には刺激的で、この分野を学んでみたいと思いました。