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Faculty of Letters

文学部

志賀 浄邦

志賀 浄邦
教員氏名
志賀 浄邦 教授
専門分野
仏教思想、インド哲学、ジャイナ教思想、現代インド仏教

研究内容を教えてください。

専門分野は、仏教論理学(因明)です。これまでは特に、シャーンタラクシタ・カマラシーラ師弟(いずれも8世紀)が著した『真実集成』とその注釈書の解読に取り組んできました。「縁起」をめぐる諸問題を中心テーマとするこれら二作品を読み解くことを通じて、仏教徒とインド哲学諸派(ジャイナ教徒を含む)の間で繰り広げられる種々の論争を、真実へと向かう「哲学的対話」として捉え直してみたいと考えています。一方で、文化人類学の研究者とともにB.R.アンベードカルに始まる現代インド仏教の共同研究も行っており、定期的にインドを訪れたりもしています。

専門分野のおもしろさは何ですか。

私の研究は、サンスクリット語で書かれたテキストを写本やチベット語訳を参照しながら批判的に校訂し正確に翻訳するという地道な作業がベースとなりますが、難解な文章の意味が「読めた!」という実感とともに立ち上がってくる瞬間は何物にも代えがたいものがあります。1200年以上も前に書かれた書物の作者たちと時空を超えて出会い、対話することができるのも研究の醍醐味の一つです。先行作品からの引用や他の作品との関連箇所を特定できた時や、そのような同定によって無関係だと思っていた点と点がつながった時もこの分野の面白さを感じる瞬間です。

なぜその分野を専門として選ばれましたか。

大学入学当時は、将来僧侶になることに対する反発もあり、漠然と心理学か英文学を学びたいと考えていたのですが、よき学友や先生方との出会いが後押しとなり、徐々に人間と世界の真理を根源的に探究しようとする仏教哲学に心ひかれていきました。最初は仏教の時間論に興味をもちましたが、その後大学院の演習の授業で仏教論理学の綱要書を読んだことがきっかけでインド論理学に関心をもつようになりました。古代インドの人々が非常にロジカルで厳密な思考体系を有していたことに感銘を受けるとともに、それまでインドに対して抱いていた先入観や固定観念は完全に覆されました。

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