「生死を超える道」を求める仏教は暗いという印象があるかも知れません。「悪人こそが救われる」「他力本願」と表現される浄土真宗は、「おかしい」「甘い」と批判的に見られることがあります。これらの一般的見解に対して、専門用語のみに頼らずに、しかし専門的に確かに語ることの難しさにチャレンジしたいと思っています。従来の答えに満足せずに、素直に親鸞の言葉に向き合うなかで、現代を生きる自己と直結する真宗学、私なりに再構築してみたい。

浄土真宗の寺院に生まれ育った環境の他に挙げるとすれば、恩師とのであいです。通説に満足されず、自身の全体を挙げて親鸞の言葉に向き合われた恩師の、学問上の厳しさと人間的な暖かみに憧れ、それは親鸞の仏教に通底するものであると感じ、この分野を専門としました。単に客観的な関心に終わらず、人間的な優しさやおおらかさと共に、人として生きる事の厳しさやさみしさ・つらさなどを明らかにできるこの分野に夢中です。