- 教員氏名
- 渡邊 久 教授
- 専門分野
- 中国史
中国の近世史を主として研究しています。「路(ろ)」や「混一疆理歴代国都之図(こんいつきょうりれきだいこくとのず)」がキーワードになります。「路」とは、地方区分の単位です。古くは郡、州、道とも呼ばれました。たとえば河北路などがあり、現在の中国では河北省という区分にあたります。11世紀ごろの中国では、全国を25ほどの路に区分していました。路には各種の役割をになう、数人の長官が派遣されました。彼らはさまざまな問題に直面します。その実像を究明できればと考えています。また本学所蔵「混一疆理歴代国都之図」は路から省への転換点に位置する地図です。
歴史学には想像力が必要です。過去の誰かが記録した歴史資料とむきあい、それらと格闘しながら解読を進めます。そこにはまだ知られていない事実が潜んでいるかもしれません。歴史的な事象を、広い視野から多面的に考えます。それまでの解釈を見直し、型にはまらない視点から事実をとらえなおす時、新しい発見に出会えます。
日本では現在も、邪馬台国がどこにあったかは依然としてはっきりしない。倭の女王卑弥呼と同時代の中国では、四百年あまり続いた帝国が三つに分かれ、新時代が展開していました。のちに「天下の大勢、分かれて久しくなれば必ず合一し、合一久しくなれば必ずまた分かれるのが常である」と言われるようになる三国時代です。なぜ天下は分かれ、また合一するのか。天下三分の計で知られる諸葛孔明も実在の人物でした。衝撃をうけた私は、中国史を学ぼうと決めたのです。地方区分である路の問題や地図の研究もその一環であると考えています。