わたしたちの展覧会「12月展」

博物館学芸員課程「12月展」
学生による手づくりの展覧会。

学生が自ら企画・運営・管理するわたしたちの展覧会「12月展」

「12月展」とは?

学芸員に必要な資格が取得できる博物館学芸員課程では、毎年12月に学修のまとめとして自主企画展覧会「12月展」を開催しています。当課程実習生は、開催テーマや展示品の決定、展覧会を開くための資料収集や調査等、博物館実習で修得した一連の知識や技術を活かして、主体的に企画・運営・管理を行います。毎年学内外から多数の来場者があり、学生たちの手づくりパンフレットも好評です。このように文学部では、所属する学科・専攻にかかわらず、自分の興味や関心に合わせて学べる諸課程が充実しています。

「12月展」

いくつもの困難に負けず、つくりあげた自分たちの展覧会。

龍谷大学文学部の恒例行事に「十二月展」という展覧会がある。博物館学芸員の資格取得に必要な「博物館実習」の一環で、学生たちの学びの集大成ともいえる博物展だ。企画や資料収集、調査、文化財の貸し出し依頼といった展示にかかわることはもちろん、広報や図録づくりまで、すべてを学生たちが手がける。36回目となる2015年度は『時季をかける菓子~京に伝わる歴史と四季~』というタイトルで、総勢47名が取り組んだ。
「十二月展」は毎年、4班に分かれてプレゼンし合い、テーマを決めるところからはじまる。「和菓子案の人気は圧倒的でした」と、代表幹事を務めた嶋本弘德さんはいう。「親しみやすいテーマなので、たくさんの方に来てもらえると確信がありました」。展示の内容は大きく「歴史」と「四季」に分けて構成し、それに「体験コーナー」を設置することになった。歴史は古代、中世、近世・近代の3班に、四季は春、夏、秋、冬の4班に分かれて調査や展示企画を行う。必要な文化財をどこから借り、どのように展示していくのかを考えながら内容を決めていった。
現在のような和菓子の形態が生まれたのは中世の頃で、茶道文化の興隆や、禅宗とともに中国から伝わってきた点心という料理の影響が強い。「そこで仏教・点心・茶道の3つの視点で中世の菓子を紹介しようと決めたのですが、資料がとても多くて整理するのに苦労しました」と語るのは、嶋本さんとともに中世班を担当した金森瑞希さんだ。「でも、調べれば調べるほど発見があるので、楽しかったです。お饅頭は、中国から伝わった肉まんが起源なんです。何気なく食べているものにも、深い歴史があるんだと驚きました」。


京都には老舗の和菓子店も多く、古い木型や菓子見本等の資料を持つところも多い。12年前にこの「十二月展」で先輩たちが「京都の食文化」をテーマに開催して協力を得ていたため、展示物はまったく問題ないとみんなが思っていた。しかし、ここで予想外のことが起きる。時が移り、どこの和菓子店も木型や資料の貸し出しを行わなくなっていたのだ。当初のあてが外れ、展示物の収集が遅れだす。そのあおりでまず苦労したのが図録制作を担当する編集局だった。展示物の写真がそろわずサイズもわからないため、完全な誌面がつくれない。完成日を遅らせることは絶対にできないので、入稿が遅れた分、スケジュールがタイトになった。メンバーは多忙を極め、夜遅くまで作業する日が続いた。編集局長を務めた堀切さや香さんは、「でも危機感を共有していたので、一致団結して、すごく頑張ってくれたんです。その甲斐あって、発行予定日を遅らせることもなく、編集局員たちの思いのこもった図録を完成させることができました」。
また、このスケジュールの遅れは、チラシやポスターを担当する広報局にも影響を与えた。「今あるものでチラシをつくり、早くから告知するべきだ」と考える広報局長がどんどん作業を進めていたが、「目玉となるような良い展示物をそろえてから印刷し、告知するべきだ」と考えるメンバーから「待った」がかかったのだ。意見は激しく対立した。できるだけみんなの意見を聞いて、協調しながらすすめていきたいと考える代表幹事の嶋本さんは、両者の間に入りずいぶん苦労したという。広報副局長だった金森さんも新たなデザインをつくり、局長を説得。結局は局長が折れる形で折り合いがついた。「どちらが正しいという話ではないので、大変でしたね」と3人はその時を思い出して笑い合う。こうした対立や議論もまた、誰もが熱く「十二月展」に取り組んでいた証なのだ。


人を動かす難しさと、共に取り組む喜びを学んで。

そして運命の12月、2015年も無事「十二月展」は開催された。入場者数は歴代3位の1,104名。干菓子の木型を使って紙粘土で型を抜く体験コーナーも好評で、毎日つくりに来るリピーターもいたという。編集局長の堀切さんと広報副局長の金森さんは、リーダーを務めた体験を「良い勉強になった」とうなずき合う。「人を動かそうと思ったら、まず自分が行動すること。そして動いてもらうには環境づくりが大切なんだと実感しました」。また常にメンバーの意見を聞いて、協調路線でまとめてきた嶋本さんも振り返る。「迷いもありましたが、自分のやり方を貫いて良かったと思います。終わってから何人もの人に『おまえでないとまとまらなかった』と言ってもらえたのが嬉しかったですね」。
仏教、文学、歴史。ひとつの事象を、さまざまな角度から掘り下げる「十二月展」は、文学部の総合的な学びだ。そして、大勢の仲間たちと協力して物事を成す経験もまた、彼らのかけがえのない学びとなった。


学芸員の資格取得にチャレンジ

嶋本 弘德 さん

仏教学科
4年生 龍谷大学付属平安高校 出身

堀切 さや香 さん

日本語日本文学科
4年生 福島県立福島西高校 出身

金森 瑞希 さん

歴史学科 日本史学専攻
4年生 福井県立大野高校 出身

 学芸員資格取得を目指し博物館実習に取り組む学生たちは、自分たちで実習の集大成となる「十ニ月展」の企画・運営にも挑戦。それぞれが実習に向き合い、展覧会準備に汗を流し、濃密な日々を駆け抜けた。

このページのトップへ戻る