- 教員氏名
- 天野 勝重 准教授
- 専門分野
- 日本近代文学
明治期の文学作品と文学史の関係について研究しています。特に齋藤緑雨という文学者の批評や小説を軸にして、現在の価値基準とは別の文学史観を見出せるのではないかと考えています。また、この緑雨という人は文学者に「品性」というものを強く求めました。さらに大変な皮肉屋でもあったことから着想を得て、文学における「品性」と「笑い」というものについても最近は研究しています。
齋藤緑雨という人は当時は森鷗外・幸田露伴と一緒に合評を行うほどの著名な批評家でした。それほどの知名度を誇った人が、なぜ現在はほぼ忘れ去られてしまっているのか、というと一般的な「文学史」に出てこないからです。緑雨以外にもそういう作家は数多くいます。そういった作家や作品に注目し、この「文学史」というものを自分なりに再構築していくのが一番おもしろいところではないでしょうか。
谷崎潤一郎とか太宰治とか大江健三郎とか、もっと読みやすくて魅力的な作家や作品はあるのに、なぜ明治文学なのか、と言えば、明治文学はいろいろ新しい試みが行われていて、そのバラエティに富んだところが非常に魅力的であったからです。例えば今私は「です」という文体で文章を書いていますが、これも山田美妙という作家が作り出した文体です。このような日本語や日本文学が発展していく基盤が出来上がっていく過程を学んでいくうちに興味がどんどん深まり、いつしか明治文学研究者です。