幕末期は、有名な事件や人物が多く、非常に人気の高い時代です。研究面でも、それらをストレートに扱うこともできますし、一方で、あまり扱われないテーマを深く掘り下げることもできます。大きな特徴は、とにかく史料が豊富に残されていることです。新史料を発掘することで、それまで誰も知らなかった事実を明らかにすることもできます。多様な可能性があり、自由度が高いことが、この分野の一番の魅力だと思います。

日本史に漠然と興味を持った時は戦国時代が好きで、大学入学後もしばらくは戦国時代を専攻したいと考えていました。大きなきっかけがあったわけではありませんが、その後何となく江戸時代に親近感を覚えるようになり、結果的に幕末期に落ち着きました。今では、江戸時代の朝廷研究はかなり充実していますが、当時はそれほど盛んではありませんでした。有名な時代を、少し違った切り口から論じてみたいと思ったのが、朝廷研究を志した動機だったように記憶しています。